[姫、慟哭す]
心優しき姫 慟哭す
伝承のただなかで
八枚の葉の 悲しきさだめに
夜の星が姫に道を示せば
剣は魂を賭して王道を切り開いた
姫を阻む敵は槍が一閃のもとになぎはらい
盾はいかなる時もその身を挺して姫を守り
しかしいざことあらば 一枚の葉が姫の身代わりとなって散った
鳥は姫の翼となりて厳しき難をも共に逃れ
姫の傷はいつも傍らにありし蜘蛛が癒した
遠き空に轟きし雷鳴が 姫の隣へ並び立ったとき
姫 我が身の不甲斐なさに戦慄す
八枚の葉の忠信に 報いるすべを知らず
神子たるその身は ただ青人草の悲しみに暮れ
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[千年の宮]
救いなるいけにえ
来るべき世まで統べる方
（一）
遠き時空より戻りし亡国の姫
世を嘆く青人草のために立ち上がりて
（二）
白き神獣を駆りし天弓の妃
誇り高き黒き雷と空から舞い降りて
（三）
未知の大地に思い馳せし囚われの姫
自由なる翼とともに現れて
（四）
人の身の行く末を憂いし双子の神子
己がため死出の旅行く魂の片割れを救うため
（五）
過去の因縁に阻まれし神弓の姫
まことある臣と、故人の遺志を胸に
（六）
星の宝玉に守られし龍の神子
さだめを超えるため時空をも超えて
（七）
前世からの縁に導かれし神子
宿願のため八百万の助けを得て
（八）
非凡の資質を備えし王たる姫君
信ずる将の願いを聞き届け
とこしえの乙女は
ついぞ輝血の大蛇を討ち滅ぼした
以来この橿原の地には
千年の平安が約束されたという
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[天上の檻]
天地を貫く八条の光は
人の心を縛る檻
彼の姫 心優しき人なれば
彼の者のために 逃れず
彼の者のために 泣かず
彼の者のために 耐え
彼の者のために 微笑み
彼の者のために 怒り
彼の者のために 立ち向かう
彼の者のために 倒れ
彼の者のために 先陣を切る
しかれどもその気高き心
痛みのために 枯れず
決して誇り失われることなく
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